12月3日、会社のオフィシャルな忘年会があった。幹事は部内で一番若い僕が務めていて、店の選定からメニューの決定、当日の座席決定まで行っていたので、ハード面での概要は完全に把握していたんだけれども、何と言っても社会人になって初の忘年会、学生の忘年会とはきっと違うものだろうと、興味半分、怖さ半分で当日を迎えた。
一次会は、会社から程ない距離にある「牛幸本店」で開催された。「お座敷牛肉料理」専門店と銘打っている、新川にある黒毛和牛を厳選しているお店だ。下見も兼ねてランチで2回足を運んだことがあったのだけれど、とても美味しくて、夜の料理にも大いに期待していた。注文したメニューは、しゃぶQ。周りが窪んだ鉄板を用いて、牛肉を焼き上げる一品。まず窪みにスープを入れて、具材として野菜、キムチを入れる。しばらく煮込んだ後、鉄板部分で肉を焼く。すると肉汁が窪みに流れ込んで、野菜、キムチ、肉汁の旨みが溶け込んだスープを楽しめるというものだ。和牛が霜降りで絶品であるのは言うまでもないけれど、このスープが期待以上に美味しかった。絶対にまた来たいと思わせる味。
宴会は、僕が予想していた以上にくだけたものだった。会がスタートする前から部長に「今日は無礼講で!」と言われていたけれど、実際にそのような雰囲気になって、とても驚いた。僕が思うに、良くも悪くも普段は典型的ジャパニーズ・スタイル・カンパニーであって、いわゆる上下関係やマナーにはうるさい会社なのに、この日だけは違った。いつもの宴会だと、それこそ宴会時間中ずっとという位、参加者全員のお酒を僕が作らなければいけないのに、この日はほとんど作らなかったし、いわゆる上席からの愚痴小言の類も全くなかった。いつもこういう雰囲気だといいのにと思いながら、楽しむことができた。しかし何よりも驚いたのは、会の終盤になった頃から、イッキ飲みが始まったことだった。僕は学生時代、自他共に認める特A級のイッキ飲み好きだと思うけれど、まさか社会人になって引き続きその飲み方に触れようとは創造だにしなかった。イッキ飲みして意識失ったら上席たちはどうするんだろうと思いながらも、僕も途中からはイッキ飲みに加わって、「イッキ!イッキ!」と連呼していた。
二次会は、一次会会場の近くにあるカラオケ屋。一次会の盛り上がりが冷めやらぬ内に移動した。それにしても、一次会同様とても驚いた。一次会から脱落者がほとんどいないのがそもそも異常事態だと思うし、二次会の皆のはしゃぎようにも心底びっくりした。最初はいわゆるミドル向けの曲、郷ひろみだとかチューリップだとかでスタートしたけれど、途中からはどんどんと歌が僕の年代のものに近くなっていって、最初は次長まで含めてまさに肩書きを抜きにしたカラオケパーティーに変貌していた。学生時代と何も変わらない・・・、そう、学生だと4年生であろうが1年生であろうが飲み会ではほぼ無礼講になるのが常だけれど、まさか社会人になってもそのような雰囲気を味わうことになろうとは・・・。僕も調子に乗って最後は、僕が学生時代に飲み会で最後に必ず皆で合唱していた「Train Train - THE BLUE HEARTS」を、若手の先輩方と大合唱した。
三次会は、いつも通りの銀座のスナック「あいあん」。僕にはこのお店の魅力は全く分からない。雰囲気もシャビーな感じだし、店のママも少しも綺麗だとは思わないのだけれど、上席のお気に入りでいつも強制的に連行される。ただ、この日は上席の目が離れた隙に脱走して、12時過ぎに銀座を離れることができた。因みに、上席ご一行は朝まで銀座でお楽しみだったとのことだ。
総じて、かなり僕にとっては衝撃的な「社会人忘年会デビュー」となった。良い意味でいつもの宴会と違って、エンジョイすることができた。